海外旅行の準備では、現地の天気や言葉、持ち物などに合わせて「お金」の事情も
気になりますよね。みなさんもご存じの通り中国はキャッシュレス先進国であらゆる買い物やサービスをスマホ1台で決済できます。
ただ、現金しか使えないお店などがある場合は多少現金が必要になる場合もありますよね。そこでキャッシュレスがここまで広がった背景から現地の最新事情まで詳しくご紹介します!
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中国のキャッシュレス事情
中国は近年の急速なIT化を含め、キャッシュレス大国ということを聞いたことはあるでしょうか。
駅や空港はもちろん、市街地の個人商店ですらキャッシュレス決済が利用できます。
今でこそ日本でもpaypayなどを含め利用できる店舗が増えていますが、郊外の方ではまだまだ「現金のみ」というお店などもありますよね。中国と日本のキャッシュレス普及率について見ていきましょう。
日本と中国のキャッシュレス普及率
一般社団法人キャッシュレス推進協議会が発表した「キャッシュレスロードマップ2023」によると2021年時点で主要各国のキャッシュレス普及率は59%、中国は83.8%の普及率に対して日本は32.5%と主要各国の平均と比較して30%近く普及していないことが分かります。
2015年時点では、日本が18.4%となっているためここ10年で約倍ほど普及してきているものの、中国は当時でも63.9%と既に平均以上普及していることになるので如何に中国が進んでいるかということが分かります。
中国で使えるキャッシュ手段
キャッシュレスの手段については日本は電子マネーの普及率が最も多く、各キャッシュレス手段別の保有枚数も主要国内トップとなっています。確かに今やCMでは各社がポイントや新規入会特典などを謳っており、筆者もQRコード決済や電子マネーなど複数の決済手段を使い分けています。
一方中国ではデビットカードの普及率が高く、クレジットカードを使い人は少数派といってもいいでしょう。これは貧富の差が激しい中国で、申し込み審査の関係で一部の富裕層のみ持つことが出来なかったため見かねた中国政府が銀行のキャッシュカードに自動的にデビットカードの機能を付与したことで、保有する枚数が多くなっていきました。
キャッシュレス普及の歴史
中国は諸外国と比較しても非常に高い割合でキャッシュレスが普及しており、今や現金を持たない人も多く存在しています。
では何故ここまで中国でキャッシュレス決済が普及したのかその背景と共に歴史を深堀していきましょう。
中国銀聯(ぎんれん)の誕生
キャッシュレス手段でもご紹介したクレジットカードですが、中国は貧富の格差が多く審査の関係でクレジットカードは一部の富裕層しか持てないものでした。そこで中央銀行である中国人民銀行の協力のもと各銀行との間にネットワークを構築し、2002年「中国銀聯(ぎんれん)」を設立しました。中国の銀行で口座を開設するとデビットカード機能も自動で付与されるため、「誰もが持つカード」として普及していきました。
中国社会とマッチしていた
キャッシュカードへデビット機能がついていたとしても、数千年続いた現金文化からいきなりキャッシュレスへ転換するのは難しい側面があるかと思います。特に日本ではいまだに高齢者を中心に現金のみしか使わないという人も見かけますが普及の裏には中国ならではのお国事情が関係しています。
偽札が横行
「中国は偽札が多い」ということを聞いたことがあるでしょう。巷では100枚中5枚の確立で偽札が混ざっているとも言われています。(※1 日本は100枚あたり0.00003程度)
紙幣の偽造技術が非常に高く現地の中国人でも見抜けないほど。お店やデパートなどでも偽札を見分ける機械が置かれているのもそういった事情があります。
※1 参照 日本銀行「世の中のお金をきれいにする(2011年9月26日掲載)」
最高紙幣が小さい
中国の紙幣は100元札がもっとも大きく日本円に換算すると約2,100円ほど(2024年4月時点) ブランド品や車など高額な買い物をする際に現金を持ち運びにくく、大金を持ち運ぶことによるリスクもあるためキャッシュレスが選ばれやすくなっていきました。
現金の持ち出しに制限
中国人が海外旅行する際の現金の持ち出しになんと制限があることはご存じでしょうか。
中国政府は中国人民元の持ち込み・持ち出しについてそれぞれ「2万元まで」と定めています(在中国日本大使館より) 日本円でいくと約430万(2024年4月時点)なので旅行でその位の大金を使う機会はそこまで多くなさそうですが、一部の富裕層の方は不動産なども購入するため、国外へ大量の現金が流出してしまうことを防ぐためと言われています。
スマホの普及とQRコード決済
日本では2011年頃からiPhoneがガラケーに次ぐ、携帯電話としてシェアを徐々に拡大していく中、時を同じくして中国でもスマホがブレイク。当時よりiPhoneは金持ち向けということでAndriodが庶民を中心に広がりを見せHuaweiやOppoなど中国を代表するスマホメーカーの出現も普及の後押しとなりました。
またECサイトを運営するアリババグループが先駆けて支付宝(アリペイ)と呼ばれるQRコード決済サービスを展開、中国のオンライン市場の8割を独占していきました。その後テンセントが提供する中国版LINEのWeChatを使った微信支付(ウィーチャットペイ)がキャンペーンをキッカケに普及、現在この2社でオンライン決済の9割のシェアを占めます。
中国で使える決済手段
中国でかなり普及しているQRコード決済ですが、中国訪問にあたってはどのような決済手段が必要か見ていきましょう。結論クレジットカードと現金に加えQRコード決済も準備できると安心です。
●クレジットカード
空港や外資系のスーパーなど観光客やビジネスマンが集まる場所を中心に利用可能。ただし北京や上海といった大都市以外の郊外に関しては使えないことも多々あるため特に内地へ渡航予定の方は、他の決済手段を準備しておくといいでしょう。ただしホテルはデポジット(保証金)を求められることもあるためその際にはカードが活躍します(現金不可の場合もあるため)
●現金
クレジットカードが使える場所であればほぼ使えることが多い現金。2018年7月中国人民銀行より現金支払いを拒否してはいけないという趣旨の声明が発表されました。支払いを拒否されることは減ってきましたがお釣りが無いパターンもあるため注意が必要。
●QRコード決済
現状中国で最強の決済手段、オフィシャルな場所から個人商店までほぼ場所で使えるため
中国旅行を控えている方はぜひ準備しておきたい決済手段です。
【これがあれば安心】中国版QRコードの登録方法
「中国での決済はQRコードがあれば大丈夫」といえるほど中国では使える場面が多く、買い物や移動など何から何までスマホ一台で決済できるのが今の現状です。
そこで旅行など中国を訪れる日本人向けに登録方法と使い方をご紹介します。
アリペイとウィーチャットペイですが、お店によって使える決済方法が異なる場合があるため結論どちらも登録しておくと安心です。
●アリペイ
アリババグループのECサイトから普及した決済。決済や個人間での送金はもちろんのこと、電気・ガスなどの公共料金の支払いにも対応。支払い以外にも保険やローン・投資などの機能があり現状中国最大のQRコード決済サービスと言われています。特に電車などの交通機関では日本のSuica同様の使い方ができるため、利用できればスマホ一台で移動が可能になります。
●ウィーチャットペイ
中国版LINE「Wechat」から始まった決済方法。元々は日本でいうお年玉のような風習の「紅包」のキャンペーンから一気に広まった背景がありアリペイと比較すると個人間でチャット上での送金に強みがある印象です。
Alipayの登録方法・使い方
日本人のAlipayの利用については、中国国内の銀行との連携が必要だったりハードルが高い状況でしたが、2023年7月よりクレジットカード経由でのチャージが可能となり口座連携が不要となりました。
登録前の事前準備として下記4つがあるか確認しておきましょう。
事前準備
・携帯番号(日本)
・クレジットカード(VISA,JCB,MASTER,DINERS)
・パスポート
事前準備が完了したらいざアプリをダウンロードして、登録とクレジットカードの紐づけを行っていきましょう。日本キャッシュレス決済を利用した経験がある方であれば、ある程度は同じなので手順に進んでいきましょう。
登録手順
①アプリダウンロード
②アカウント登録(電話番号認証)
③実名認証(パスポート)
④クレジットカード登録
①アプリダウンロード
まずはアプリをダウンロードします。Alipayまたは「支付宝」と検索し青いアイコンのアプリをダウンロード。ダウンロードが完了しアプリを開くとプライバシー保護に関する文章が出てくるため「Agree」を押し、電話番号認証に進みます。
②アカウント登録
電話番号を入力するページへ遷移するので、日本の国際番号である「+81」を選択し電話番号を入力します。ここで注意なのが電話番号を入力する際に「最初の0を入れずに」入れること。中国も日本と同じく、11桁なのですが全て入れると先に進めない仕様になっているため注意が必要です。
SMSで認証コードが届くので、数字を入れると無事に認証が完了しAlipayのトップページへ遷移します。(所在地を入力するページが出る場合はjapanと入力してください)
③実名認証
トップページより「Account」を選択し、マイページへ移動します。
右上の歯車マークを押し「Securitiy Setting」から「Identity Information」を押します。
パスポート情報を入力するページへ遷移しますので、「Scan to fill in automatically」を押し事前に準備していたパスポートを撮影します。氏名、パスポート番号、性別、生年月日、パスポートの有効期限の順に入力していき「Submit」を押します。
④クレジットカード登録
クレジットカードをする場合は再び「Account」から「Bank Cards」を選択し「Add Card」を選択します。その後6桁のパスワードを設定する画面へ遷移するので任意の数字を設定カードを登録します。ここで設定するパスワードは支払い時にも使う大切なパスワードなので必ずメモしておきましょう。
使い方
日本のPayPayなどと同じく基本的には「スキャン」または「読み取り」で支払います。スキャンは個人商店などに多く、店頭においてあるQRコードを読み込んで支払います。一方でお店のレジで読み取ってもらう場合は「Pay」を選択し画面を読み取ってもらいます。
Wechatpayの登録方法・使い方
Wechatpayの登録方法についてもご紹介していきます。前述のようにAlipayと持っておくと便利な決済方法の一つです。実はAlipayと違いこのアプリは「日本語」に対応しているためアプリ内の操作は比較しやすいです(一部英語求められることもありますが)
中国版LINEである「微信支付」から始まった決済ということもあり、仕事や趣味で中国の方と関わりがある方はもしかしたら既にアプリのダウンロードがあるかもしれませんが、ここでは完全に新規でダウンロードする方向けに解説していきます。
Alipay同様決済登録には下記が必要となりますので事前準備として確認しておいてください!
事前準備
・携帯番号(日本)
・クレジットカード(VISA,JCB,MASTER,DINERS)
・パスポート
ここの手順もAlipayとほぼ同じです。手順に従って進んでいきましょう。
登録手順
①アプリダウンロード
②アカウント登録(電話番号認証)
③実名認証(パスポート)
④クレジットカード登録
①アプリダウンロード
「WeChat」で検索しアプリをダウンロードします。
②アカウント登録
ダウンロードが完了しアプリを開きますとこのような画面に移ります。
緑の登録ボタンを押して先に進みます。地域と電話番号の入力を求められる画面へ遷移するので、電話番号を入力します(こちらは090など先頭の0を入力してください)
入力した電話番号宛てにSMSが届きますので、コードを入力したら無事に登録完了です。
③実名認証
トップページ右上の「+」マークから、マネーを選択し緑色の画面へ遷移しますので規約にチェックし「今すぐ有効にする」を選択します。カードの追加が必要というアナウンスが表示されるので、「追加」を選択し先に進みます。
それぞれ規約を読んだあとに個人情報登録の画面へ遷移するので入力していきます。筆者の画面では、すべて英語表記だったので念のため各項目を説明しますね。
・Name … 氏名
・Gender … 性別
・Country/Region … 出身/地域
・Passport NO. … パスポートナンバー
・ID Effective Date … パスポートの発行日
・ID Expiration Date … パスポートの有効期限
・Address … 住所
・Occupation … 職業
④クレジットカード登録
登録が完了すると、クレジットカード情報を求められる画面に遷移するので情報を入力しき登録します。日本語では「銀行カード」と表示されていますが、ここではクレジットカードを登録します。登録が完了すると支払いパスワードを求められる画面へ遷移するので設定。Alipay同様支払い時に必要な大事なパスワードになるので大事に保管してきましょうね。
設定完了後QRコードの画面になりますがこの時点ではまだ支払いはできません。一旦ホーム画面に戻り、「Weixin Pay」から来ているメッセージをタップしパスポート写真をアップロードします。認証に1日かかると書かれていますが早い人だと5分程度で完了します。
使い方
認証が完了するとマイページに「サービス」というタブが出現し、マネーを選択するとQRコードが現れます。あとの方法は日本のキャッシュレス同様、QRコードを見せるか・読み取るかの2択ということになります。ちなみに初回決済の際には支払い方法が「残高」になっているのでQRコード下部の支払い方法を先ほど登録したクレジットカードへ変更することをお忘れずに!
余談ですが、200元以下の決済には3%、クレジットカードからのチャージだと0.5%など利用には手数料がかかる場合があります。現金に換金するよりは安いですがキャッシュレス王国の中国でこの手数料は地味に痛いですよね。
QRコード決済にはネット環境が必要
現地での決済に限らず、電車の時間を調べたり地図を使う時には中国で使えるネット環境が必要になりますよね(当然といえば当然ですが)
こちらの記事では中国で使えるおすすめのネットについてまとめているので興味がある方は、見てみてくださいね!
現金はいくら持っておくといい?
ここまで見てきた通り中国では偽札問題などの問題によるかなりキャッシュレスが進んでいる背景もあり、個人商店など現金の利用を拒否されたり「おつりが無い」などといった理由で使えないケースなども多発しています。結論としては数日程度の旅行の場合であればクレジットカードやQRコード決済が使えないといった場合の予備として持っておくと良いでしょう。
現在この現金が使えないという問題は中国でも社会問題となっており、中国政府も観光客向けに主要な観光地などを対象に現金の受け取りや海外クレジットカードの対応を呼びかける声明を発表していますが、実態としてはまだ普及していないのが現状です。しかし紹介したQRコード決済も最終的にはクレジットカードからの支払いという形のため、レジで突然支払えませんでしたという場合もあります。(カード会社の海外での不正利用に対するセキュリティのため)
そのため現金はあくまで何かあった時の予備という形で考えておくのがベターでしょう。
2,000円程度あると安心
中国国内での移動では基本キャッシュレス利用可能なため現金を利用するシーンは基本的に飲食店や個人商店などが該当するのではないでしょうか。例えば日本からアクセスが良い上海などではランチが1食平均2,000円ほどと言われていますので数日程度の旅行であれば一人あたり2,000円ほどあれば安心だと思います。
両替場所
現金への両替場所についてですが日本で事前に準備するより、中国で両替した方がよりお得です。
中国での両替は主に銀行・ホテルで行います。到着直後の空港でも換金することができますが、1回あたり1,000円程度手数料を取られたりなど割高なのでワッツチャイナではおススメしていません。また海外対応のクレジットカードをお持ちの方であれば現地ATMで都度キャッシングする方法もありますので合わせて紹介します!
銀行
当然ですが偽札の心配がなく一番安心して両替できる所が銀行です。窓口で「Exchange」と伝え、用紙に換金したい金額を記入、パスポートを提示すれば簡単に換金することが出来ます。銀行ごとにレートの違いはありますがさほど違いはなく、予備として持つ程度であれば基本は近場の銀行で両替することをおすすめします。
ホテル
宿泊するホテルによっては換金に対応してくれる場合もあります。(特に外国人旅行客が多いホテルなど)銀行と比べレートもそこまで変わらないので銀行が近くにない場合はこちらを利用してもいいかもしれません。ただすべてのホテルで両替に対応しているわけではないのでホテルで両替予定の方は事前に対応可能か調べておく必要があります。
カードキャッシング
キャッシングと聞くと少し抵抗がある方もいるかもしれませんが、現地の両替よりキャッシングで引き出した方が手軽でかつ、レートもお得な場合があります。国際ブランドのVISAまたはMasterCardをお持ちの方であれば日本のAMTの感覚でお金を引き出すことが出来、少額であれば費用や利便性を考えるとキャッシングはおすすめの方法と言えます。
通常の両替の場合は、(為替レート+銀行手数料)×交換する通貨数で算出されます。体感ではありますが、1元につきおおよそ1.7円ほどが相場な印象です。
※2024年5月現在 1元22円+1.7円(手数料)=23.7円が取引レートになります。
キャッシングの場合は、カード会社の為替レート(相場より1%程度上乗せが多い)に加え支払い利息と、
海外ATM手数料が定額でかかります。支払い利息はおおよそどこの会社も年利18%、ATM手数料は利用している人も多い三井住友カードであれば1万円以下の利用で110円(税込)が定額でかかります。
年利18%でも翌月、つまり30日で返せば数百円程度の利息で利用することが出来ます。
※2024年5月現在 1元22円+0.22円(手数料)=22.22円に加えキャッシング手数料(数百円程度)
1万円程度の両替ではあれば違いそこまで大きな違いにはなりませんが、手数料を加味してもキャッシングのレートが安いことになるのでカードキャッシングについてもチャレンジしてみてください。
まとめ
ここまで中国の決済事情について歴史から最新の状況まで紹介してきました。結論としては「現金は使えないわけではないけど、キャッシュレスを使った方が安心」ということでした。日本に比べ超キャッシュレス社会の中国では、偽札などの観点からもお互いのためにQRコード決済やクレジットカードなどキャッシュレス決済の設定を渡航前に行えるとベストです。
ただそれでも万一、エラーなどでキャッシュレスが使えない可能性のことも考えると日数に応じて数千円程度の現金は準備しておくと良いでしょう。
当然ではありますが、スマホ決済はネット環境がなければ使えません。もちろん無料Wi-Fiが通っている所であれば問題ありませんが郊外やそもそもネット環境が整備されていないところで支払いに困らないようにネット環境も準備しておきたいところです。
ワッツチャイナでは、今や有名になりつつある中国でGoogleが使えない問題から中国でのネットの使い方についても紹介しています。ご興味がある方はぜひ見てみてください!